誰そ彼は[第7回]「松永幸子(とら猫堂)」

 

幸子さんは京都の二条駅かいわい土曜マルシェという手作り市に、お友達と「とら猫堂」という名前で出店し、その売上を保護猫の食事代や治療費に使っておられます。

誰か優しい人が捨てられた動物の保護活動をしていて、里親募集のツイートがまわってきたときだけクリックひとつでリツイートして、誰か優しい人が飼い主になりましたよっていう報告を見て、満足していた私にとって、見習うところが 多いインタビューになりました。

 

とら猫堂
お店に立っているのが幸子さんです。

猫の里親になるという選択肢があることを知ってもらいたい

 

—「とら猫堂」はどのような活動をされているんですか?

 

松永幸子:3年くらい前から、京都のJR二条駅のそばにあるBiVi二条前で催される「二条駅かいわい土曜マルシェ」に、月に一回出店しています。

 

—お名前が「とら猫堂」なのは愛猫のジロー店長がトラネコなのにちなんでですか?

 

松永幸子:手作り市に出店したきっかけは、東日本大震災のチャリティイベントでフリマの出店募集があったので、被災した動物のところに役に立つように、アクセサリーや家にあったレコードを出して、ちょっとでも売れたら売上を寄付しよう言うて、はじめたのが始まりです。

その時に夫が、せっかくだから屋号をつけようって「とら猫堂」っていう名前をつけてくれました。

 

「とら猫堂」のジロー店長、10歳。生後3週間くらいで、近所の屋根の上で鳴いていたところ幸子さんと出会う。

—いろんなものを販売しておられますよね。

 

松永幸子:「とら猫堂」は私一人ではなく、仲間と協力して活動をしているんです。

絵が描ける人はポストカードを作る。

アクセサリーを作れる人はアクセサリーを作る。

猫のおもちゃを作っている人もいてる。

各々(おのおの)が作れるものを持ち寄っているので、結果的にいろんなものを販売するお店になっています。

この売上で、保護されている猫のご飯代や医療費を支援しています。

買ってくれはったお客さんにもそれは伝えています。

 

とら猫堂
二条駅前の商業施設の前にたくさんのテントが軒を連ね、お客さんで賑わう「土曜マルシェ」
「とら猫堂」は仲間が手作りしたものを持ち寄っているので、いろいろなものが所狭しと並べられています。

—お店のはしっこに、毎回猫の里親募集パネルが出ていますが、「とら猫堂」で猫の保護活動などをされているのでしょうか?

 

松永幸子:実際は私自身は猫を保護している訳ではないんです。

「とら猫堂」を一緒にやっている友達が猫の保護活動をしていて、大阪とか京都とか福島で保護された猫を預かっているんです。

そのお家には、保護猫がいつもだいたい7匹から10匹くらいいてる。

猫を連れてくる訳にはいかないので、その猫たちの写真パネルを展示して譲渡会のつもりでやっています。

猫の里親を探すのも目的ですが、里親になるということを知らない人も多いので、猫の里親になるという選択肢があることを知ってもらいたいと思って。

 

お店の横手に猫の里親募集パネルが設置されています。(この日はお友達の猫さん達も一緒です)

 

—そのパネルを見た方の反応はどんな感じなんでしょう?

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松永幸子:熱心に見て下さる方も沢山いらっしゃいますが、中には里親って何?猫ってペットショップいったらなんぼでも買えるやん、とか言うていかはる人もいます。

 

—まだ、ペットはペットショップで飼うものという意識の方って多いですか?

 

松永幸子:最近はテレビとかでやってるから、猫の里親っていうものがあるということはだんだん知られてきていると思うんですけど、まずどうしたら里親になれるのかが情報としてわからない人の方が多いです。

 

—そうですよね、テレビで見て里親という選択肢を知ったとして、いざ猫を飼いたいとなったらどうしたら良いのかはわかりにくいですね。

パネル展示してある猫を気に入って里親になりたい場合は、具体的にはどんな手順が必要なんでしょうか?

 

松永幸子:写真を見て気に入った子がいたら保護してはるお家に行ってもらって、まずは会ってもらいます。

 

—はい

 

松永幸子:次はこちらから里親希望の方のお宅に伺います。

それで猫が飼える適正な環境かどうかを見に行く。

このドアは猫が脱走しそうなので二重にした方がいいですよ〜とかアドバイスしたり。

 

—家族の方の同意があるかを確認したり。

ペット可物件かどうかも確認したりしないとですね。

 

松永幸子:そうそう。

それで大丈夫だとわかったら、まずトライアル2週間。

 

—まだ、正式譲渡にならないんですか。

里親になるには、けっこうな手順が必要なんですね。

 

松永幸子:保護活動をしている人や団体はほとんどトライアルを取り入れてるんとちがうかな?

行った先の猫と気が合わないとか、家族が猫アレルギーになってしまったとか、一緒に暮らさないとわからないこともあるから。

 

—なるほど。

これだけの手順を踏むということは、飼う方もですが、保護している人はもっと手間がかかりますよね。

わざわざ家を確認しに行き、トライアルに出して、猫が新しい飼い主の家で幸せになれるかというところまで気を配るんですね。

保護して、世話をして、幸せになれるお家かどうかきちんと確認して送り出すのかぁ。

猫への愛情がないと絶対無理ですね。

 

売り上げは猫さんのご飯になります。

 

松永幸子:個人で保護活動してはる人がいて、ネットとかで里親を探してるのって、まだまだ一部の人しか知らないんですよね。

だから、「とら猫堂」のパネル展示は、パネルを見てこの猫を飼いたいと思ってくれる人を探すだけじゃなくて、いつか猫を飼いたいと思った時に里親っていうもんがあることを知ってもらうことに意味があると思ってやってます。

 

—そうですよね。

 

松永幸子:将来的にペットを飼いたいと思ったら、行政のやってる愛護センターとかの譲渡会に行くのが当たり前みたいな社会になるのが理想です。

 

行政がやってはったらわかりやすいし、安心して行けるから。

 

 

—お話ありがとうございました。


お話中幸子さんは、何度も「私が直接猫の保護活動をしてる訳じゃないのに、私なんかでええの?」とおっしゃってました。

二条駅かいわい土曜マルシェに「とら猫堂」で出店する他にも、ボランティアで「災害で消えた小さな命展(旧震災で消えた小さな命展)」の展示会のお手伝いをされたりと、できることを楽しみながら続けられています。

世の中捨てられた猫や不幸な猫がいたら助けたい人がほとんどで、だけど猫を保護することができない環境に暮らしている人がほとんどで。

それで「私は仕事が忙しいから無理、家が狭いから無理」と言って終わるのではなく、「できることをする(しかも楽しみながら)」というのがいいなぁと思うのです。


「とら猫堂」の出店予定

京都JR二条駅の商業施設BiVi二条前にて、手づくり市「二条駅かいわい土曜マルシェ」(10時30分〜17時)

2017年の年内出展予定は11月25日と12月23日です。

 

ただいま里親さんとの出会いを待っている猫たち

 

手書きのイラストと文字によるチラシ。「とら猫堂」の猫の里親探しの告知だけでなく、犬猫の譲渡会があるということを知ってもらいたいという内容になっています。京都では毎月8日に因幡薬師でも犬猫譲渡会が開催されています。

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清水はなこ
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めぐれるの文章を書いている人。 京都生まれの京都育ち。 だが、旦那が転勤になり2017年の春より東京在住。 座右の銘は「三度の飯よりロッカバラードが好き」。 趣味はセルフリノベーション。