住民税は「前年」の所得をもとに計算されるという事を初めて知りました。
区役所の独房のような空間を抜け出し、面会場のような窓口で1万円を支払い
残りの支払いを分納するための納付書を発行されてようやく解放されました。
平日の昼間から罪人の気分でした。
厄年を経てまさに八方塞がりと呼べれるのにふさわしい状況になってしまいました。
大阪の時代が懐かしくさえ感じてきました。
人生には厄年の他に八方塞がりというトラップまで用意されているそうです。
八方塞がりとは、どの方向に向かってもすべて不吉の結果を招くこと。どうにもならないこと。
だそうです。
本当に要らないことだけ丁寧に用意されているものだな、とつくづく思います。
そして僕には見事なまでの八方塞がりの年になったのでした。
大阪での仕事をドロップアウトした後、瞬間的自由を満喫していた僕には
そういた社会的なことは頭からすっかり抜け落ちていたのでした。
しばらくして畳み掛けるように国民健康保険の督促もやってきたのでした。
八方塞がりここに極まれり。
一旦状況を整理するために、毎月の引き落としやクレジット支払いの詳細を改めてみることにしました。
すると、以前のプロバイダーの料金を毎月2,000円程、支払い続けていることが発覚しました。
通信費として見過ごしていたんです。
何をどのように払って何が一体どうなっているのか?
遡って思い出してみました。
覚えている人もいるかもしれません。
ローリングストーンズの『シーズ・ア・レインボー(She’s A Rainbow)』が起用された
iMacが躍り出すようなCMがありました。
欲しい!!と思ったのと同時に
Think different
この広告コピーにも心が躍りまくったのを覚えています。
発売当初はその当時の僕にはとても買えるような値段ではありませんでした。
社会人になり、ようやく僕が買えたのはsnowというモデルの白いiMacでした。
Creamの『White Room』がCMで起用されていました。
スロットルがついていてDVDを観ることができるモデルでした。
今から振り返るとおもちゃのようなMacでしたが当時は感動したものです。
iMacを模した透明なスケルトンな感じの雑貨などもあちこちで見かけたりしたものでした。
一種のブームだったんでしょうね。
そのiMacを買った時期は仕事が忙しくなり始め、バンドメンバーや音楽仲間とは疎遠になりつつあり
一人であなぐらにでも籠って何か音楽を作ってみたい、そんな風に思っていた時期でした。
そしてダフトパンクとかに憧れた僕は、Logicというデジタル音楽作成のソフトやキーボードなどを購入していたのでした。
キーボードは簡単に言ったらiMacに繋げないと音が出ないものでしたが
なんとなく見た目がかっこいいという理由で買ってしまいました。
浅はかで薄っぺらい僕は、これでかっこいい音楽が作れるぞ!と
デジタル音楽の理解も知識もないまま胸をときめかせてLogicを起動しました。
インターフェースがドイツ語でした。
わずか1週間で挫折しました。
そんな思い出の詰まったiMacが購入後3年を少し経過し突如動かなくなり電源すら入らなくなったのです。
しかも、保証期間をちょうど過ぎたくらいで。
かっこいい音楽どころか生き様が格好悪い僕は呆然としました。
すでに新しいバンドをスタートしていたためキーボードは必要ではなくなり
本当にただの飾りとなってしまいました。
ジョンレノンに憧れて買ったリッケンバッカー325もその時期くらいに買ったのですが
これも飾りのようになっていました。
それらの買い物はクレジットや信販会社のローンで買ったものでした。
その中の幾つかは支払いを終えていましたが、
お金が定期的にある程度安定的にいただける状況で支払えることが前提だったため
それらが未だに月々の家計を少しずつ圧迫していました。
iMacが使えなくなって時間が経過し、自分の環境の変化の中で気づかずに通信費を毎月払い続けていたのでした。
インターネットをすることがなくなったのにも関わらず。
通信会社へ電話をしました。永遠とも思えるほど長い間コールをしました。
半日電話かけ続けた後、ようやく解約の手続きを済ませることができました。
そしてようやく整理がついたのでした。
払わなければいけないものは
・住民税
・健康保険
・カードローン
・クレジットカードの支払
そして、家賃や携帯の通信費などの固定費
ということが判明しました。
それだけです。
それだけなのですが、一つ一つが積み重なるとずっしりと重みを感じました。
多いなぁ。
これらの事を考えると頭が痛くなりました。
少しでも早く身軽になりたい。
どうしたらいんだろう?仕事を掛け持ちするか?
考えれば考えるほどわからなくなりました。
ぐうぅ。。。
おなかの虫が鳴きました。
今確認した支払い以外に食費がかかるんだ。
改めて生きていくのは大変だな、と思いました。
こんなに追い込まれても空腹になる自分の身体に怒りすら覚えました。
そして、空腹は脳みその体力を着実にそぎ落としていくかのようでした。
忘れようとしていたキャンペーンの電話を思い出しました。
まだいけるんだろうか?
そして履歴から恐る恐る電話をかけ
100万円のキャンペーンってまだいけますか?
こう言いました。