100万円

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前回の続き

 

100万円を手に入れました。

翌日には簡単に振り込まれていました。

 

キャンペーンを告げた番号へ恐る恐る電話をしました。

僕の心配をよそに電話はすぐ繋がり、淡々とシステムを伝えられました。

キャンペーンは継続していました。

 

カードローンをATMで現在の借り入れ状況を確認すると

きっちり100万円借りていました。

 

カードローン金利を減らすために借りたお金でした。

 

 

そして銀行口座を確認すると確かに残高が増えていました。

 

僕は、

自分のお金ではないのにも関わらず、なぜか気分は高揚していました。

 

借りてしまった緊張感からなのか、

銀行口座に今までにない程のお金を所持しているからなのか。

 

その答えは返済の時期を待たず判明することになるのでした。

 

 

深夜残業

 

再び生活パターンが深夜を侵食するようになってきました。

仕事のためでした。

 

営業担当がいつも遅くに帰社し、そこから制作に関する修正事項が伝えられました。

多くの場合、なぜこれだけのためにこんな時間になるのか?

と疑念を抱くようなことばかりでしたが。

 

そんな訳で日用品や生活必需品、食材のほとんどを

深夜でも開いている100円均一のようなコンビニで調達する生活パターンになったのでした。

 

返済に追われ、財布の中の数百円をどのように使うか?

そういうことばかり悩みながら生活をしていました。

 

その頃の理想は、『自分自身で光合成ができること』でした。

 

お金がかからず水だけ生きられたら。そんな風に現実逃避の妄想をしていました。

しかし誰にでもわかりきっているように人間、食べなくては生きてはいけません。

阿呆の僕でもそんなことは百も承知です。

 

そのために、

 

1週間のうち、平日をキャベツ1玉で凌ぐ。

 

食パンだけで数日過ごす。

 

などといった極端な低燃費な生活を営んでいました。

それが、たった一本の電話で、質が良く新鮮な食材を買う条件が整いました。

 

そして、本当に空腹で空腹で仕方なかったのでした。

 

 

 

まず、100均コンビニをやめて普通のコンビニに行きました。

そして、コンビニの弁当コーナーで寿司のセットとスーパードライを買ったのでした。

 

とんでもない多幸感が身を包みました。

ちょっとした贅沢に対する飢餓状態だった僕は

少しずつ少しずつちょっとした贅沢を味わうようになりました。

 

最初の1週が経ち、2週目が過ぎました。

土曜の夜の友達からの誘いの電話も、もう断りませんでした。

 

2週目を過ぎると値段を気にせず買い物できる、というような錯覚が始まりました。

そして再び夜の街を彷徨い歩いたのでした。

 

一ヶ月。

 

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きっと、神様がいたら

この約4週間をどのように使い、どのように過ごすかを

僕に試していたのでしょう。

 

瞬く間に3週が経過しようとしていました。

 

払わなければいけないものは

・住民税

・健康保険

・カードローン

・クレジットカードの支払(リボ)

そして、

・家賃や携帯の通信費などの固定費。

 

これはひと月前から変わらず、額も決まっていました。

 

そして増えたのは

・きっちり100万円借りさせるために振り込まれた債務

 

月々の収入は変わらず、もう一つ増えたものがありました。

 

 

それは、出費でした。

 

 

景気が良い時のサラリーマンが、業績の良さを背景にボーナスを見込んでローンを組む感じなのでしょうか?

いや、そんな前向きな消費行動ではありません。

 

まるでドラえもんのひみつ道具の『タイムトリモチ』で自分の小遣いを先取りするのび太という感じでしょうか。

そんな可愛いものではないですね。

 

ひみつ道具で例えるなら『円ピツ』でツケを増やすと言った感じでしょうか。

後からツケは回ってくるんですが…。

 

たった一月。

これだけの時間とお金を目の前に気が大きくなっていました。

全くの油断でした。

 

口座にお金があるという漠然とした安心感は、危機感を破壊し、油断を熟成させました。

電気料金やガス代などとともに自動引き落としにしていなかったものの一つに携帯電話の料金がありました。

 

請求書を放置していたままの僕は気づいていませんでした。

携帯電話が止まっていることを。

 

そして、いよいよ支払日が迫っていました。

 

振り込まれたお金をもう一度同じ金額、振込し返さなければいけないのです!

 

自分の持っているお金を見回しました。

 

どこでもドア

 

 

そして思いました。

 

「あぁ、ドラえもんはいないんだよな。」

 

 

続く

 

 

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木村
About 木村 34 Articles
めぐれるの副編集長してる人。 静岡県浜松市出身、うなぎパイのとこです。 京都に来てはや20年以上。お酒とロックと夏が好き。 自由気侭なフリーランスで2児の父。