「エリック・クラプトン」の楽曲が使用されたCMコレクション

songreview
 

「TVコマーシャルと洋楽コマソン40年始1970〜2009」なる書籍を図書館で見つけまして。

洋楽好きにとっては眺めてるだけでニマニマしちゃうような懐かしい代物でして。

CMというものは、当時の時代背景を色濃く投影しているのでカルチャーも感じ取ることができます。

本を照らし合わせながらyoutubeで当時のCMを見ていたのですが、「これ、みんなも見てニマニマ懐かしんで欲しいな〜」と思ったので、アーティスト別にリストアップしてみます。

エリック・クラプトンにしたのは、私が彼のファンで、生まれて初めて行ったコンサートが1987年のクラプトンの大阪城ホールだからという私的な理由です。


1987年 TDK・CDテープ

いとしのレイラ/デレク・アンド・ザ・ドミノス

キャッチコピーは「僕の神様を録る音」。

当時のエリック・クラプトンの通称は、「ギターの神」「ミスタースローハンド」などだったので、テレビコマーシャル中のキャッチコピー「僕の神様を録る音」というのを私なりに意訳すると「大好きなクラプトンのCDをダビングするのにふさわしいカセットテープ」ということ。

ちなみに、CDは1983年に誕生しました。

シェアは

1983→0.5%

1987→28.6%

1991→55.4%(この年のレコードは38.5%でシェアが逆転する)

※参考リンク 30秒でわかる、音楽メディア30年間の変遷の歴史

つまりはCDは当時の最先端だったんです。

1987年、日本の景気は絶好調。

そんな時代にふさわしい、外人さんを使った、CDというものが最先端のかっこいいものなんですよ〜というイメージを植え付けるCMになってると思います。

で、クラプトン自身は、CMの前年の1986年にボーカリストでドラマーで俳優で実業家のフィル・コリンズがプロデュースしたバリバリのポップアルバム「オーガスト」を発売して、トム・クルーズが主演した映画「ハスラー2」の主題歌に抜擢されたりもして、ヤードバーズやクリームで活躍したギタリストによるソロワークという感じではなく、世界が誇る偉大なポップミュージシャンにして、神ギタリストというポジションに立っていて、イギリス人ですが、とても景気の良いアメリカっぽい音楽をやっていたような印象です。

ちなみにポップすぎてクラプトンファンには評価の低い「オーガスト」ですが、私はこのアルバムがクラプトンのアルバムの中で一番好きです。

売れ線狙いのポップアルバムなのに、クラプトンの歌声が、ギタリストぽい荒さがまだ少し残っている感じが、男っぽくてかっこいいなあと思います。

さんざん、1986年のクラプトンの話をしましたが、採用されている曲はデレク・アンド・ザ・ドミノスというクラプトンが在籍して1枚だけアルバムを残して解散しています。


1989年 HONDA アスコット FBT-I

BAD LOVE/エリック・クラプトン

1989年にアコードの姉妹車として登場したアスコット。

HONDAの偉いさんたちが学生時代とかに多分クラプトン聴いて育った世代やったんやろなぁ。

そんな気がしてしまう、クラプトンのプロモーションフィルムのようなテレビコマーシャルに仕上がっています。

当時クラプトンは海外では確固たる人気のあるビッグネームアーティストで、洋楽ロックファンには根強い人気がありましたが、日本で超有名になったのは「ティアーズ・イン・ヘブン」の大ヒットと「アンプラグド」アルバムのロングセラーなので、このCMの後なんですよね。

なので、HONDAは先見の明があったと言えなくもないのですが、世間のアコード買うようなお父さん世代からしたらTVCM見て「このおっちゃん誰?」みたいなところがあったと思います。

まだ景気が良くて、広告費がたくさん用意できたんやろなぁ …とか思ったりして。

タバコの煙がフレームインしていて、時代を感じます。

そういやこの頃はまだ職員室で先生がタバコ吸ってたなぁとか思い出したりしました。

こちらの曲は、CMが放映された同年である1989年に発売されたアルバム「ジャーニーマン」に収録されて、確かアルバムのリード曲(看板曲)だったと思います。

ロック都市伝説(私はロック都市伝説収集が趣味でした)では、この当時クラプトンはジャンニ・ヴェルサーチのスーツを着ていたので、「ジャーニーマン」ならぬ「ジャンニマン(ジャンニの服を着る男)」だねという小ネタを提供しておきます。

ヴェルサーチだけでなく、良いスタイリストがついたのか、超垢抜けました。

HONDAアスコットなんと、フルのMVもある

このアルバムからクラプトンの男前っぷりが格段に上がり、コンサートとかに行っても、男ファンが殺到する神ギタリストから、おばちゃんファンが増えて中年アイドルみたいな感じになってきていた印象。

そして歌もぐんぐん叙情性がアップして行って、91年の24ナイツというライブビデオで見る限り、バラードでうっとりと目を閉じて歌うようになったんですよ。

あと、このCMの放映中にたまたまジョージ・ハリスンが来日公演を行い、たまたまクラプトンがギタリストとして同行していて、HONDAがジョージ・ハリスンの大口スポンサーになっていて、特番みたいなんやってた記憶があります。

ジョージ・ハリスン、日本は仏教の国と思ったのか何か勘違いしていて笑顔で「ナマステ」って言ってきてて、それを見てもやっとした記憶があります。

大阪城ホールにコンサートを見に行ったら、ユニコーンのメンバーが来ていました。


1993年 JT・エモーション

ロンリー・ストレンジャー/エリック・クラプトン

1992年に発売されたライブアルバム「アンプラグド」が世界的大ヒットとなったクラプトン。

当時MTVの企画番組でいろいろなアーティストがアコースティックライブを披露するアンプラグドが大当たりして、たくさんの人気アーティストが「アンプラグド」名義でアルバムを出しましたが、クラプトンがダントツで話題になりました(売上枚数とかは知りませんが)。

で、JTが起用しました。

動画を見つけることができなかったのですが、本人出演ではなくイメージCMのBGMに使用されていたような印象がうすらぼんやりとあります。

誰か覚えてらっしゃる方がおられたら情報を求むです!

趣味のロック都市伝説としては、ブルース・スプリングスティーンはアンプラグドの番組なのに一部プラグインしちゃったので、「アンプラグド」というタイトルでライブ盤をリリースしています。

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2002年 三菱コルト

オーバー・ザ・レインボー/エリック・クラプトン

三菱自動車とダイムラー・クライスラーによって共同で開発したコンパクトカーコルト。

HONDAの次は三菱です。

クラプトン、自動車メーカーに大人気です。

が、残念ながらクラプトンバージョンは発見できず。

この頃あまりテレビも見ていなくて、記憶にもありません。

調べたところ、元ちとせ、オリビア・ニュートンジョン、山崎まさよしなど、いろいろな歌手によって様々なアレンジで収録されたオーバー・ザ・レインボーを使用していたようです。

すごい贅沢な試みやなぁと思います。

あと、80年代は音楽好きは洋楽を好きで、邦楽はあまり音楽聴かない人のためのものというような印象があったのですが(忌野清志郎やはっぴぃえんどなど一部例外あり)、邦楽が1990年代後半あたりの邦楽は、成熟したというか、洋楽に追いついてきたような印象がありました。

音楽好きな人でも、納得できるような邦楽アーティストがヒットチャートを賑わし出した的な手応えというか。

オリビア・ニュートンジョンやクラプトンと並列で山崎まさよしが出てくるっていうのも、そういうのがこのCMにも反映されている気がします。(これは完全なる私見で、世間の評価は知りません)

クラプトンが歌っていた2001年のライブバージョンの音源も発見。

これが採用されたのか、新録されたのかも気になるところ。


2003年 三菱 企業CM

いとしのレイラ/デレク・アンド・ザ・ドミノス

企業のイメージCMにどかーんと採用されています。

ティアーズ・イン・ヘブンの大ヒット以降、アコースティックのイメージが強かったクラプトンですが、やっぱりレイラは最高です。

サビも良いけれど、ギターリフはガチでマジで秀逸。

ロックンロールギターイントロ名フレーズのベスト3とかに入るのではないでしょうか?


2012年 日本生命企業イメージCM

いとしのレイラ/デレク・アンド・ザ・ドミノス

大企業でレイラの取り合いです。

ほとぼりが冷めた頃に採用されてます。

日本生命の以前の2社と違うところは、イントロのギターリフだけでなく、間奏(というか後奏?)部分が採用されているところ。

レイラって実は最後のインスト部分もかっこいいんですよね〜。


2015年 サントリー BOSS

チェンジ・ザ・ワールド/エリック・クラプトン

「チェンジ・ザ・ワールド」が採用されたのは、やっぱり2014年に「笑っていいとも」が終了したタモリの起用がきっかけなのではないでしょうか?

32年間続いた、日本の歴史みたいな番組が終わって「世界が変わった」と当時は日本中が思ったはず(今はバイキングに違和感を感じなくなっているとしても)。

時代にぴったり寄り添うような1曲でした。


おまけ:クラプトンカバー編


2010年 Nissan Juke

サンシャイン・ラブ/オリアンティ

クラプトンでHONDA、三菱と採用されていましたが、カバーで日産まで!

自動車会社はクラプトン大好きですねえ。

歌とギターはオリアンティさん。

マイケル・ジャクソンが亡くなった時に、バックバンドとして活動していて話題になり、日本で頑張ってプロモーション活動をしてましたが、ほどなくフェイドアウトしましたね。

この曲はクラプトンが60年代後半に在籍していた、サイケロックバンドクリームの代表曲です。

歌っているのはクラプトンではなく、ベースボーカルのジャック・ブルースです。


2017年 アサヒ ウィルキンソン・ハード

フォーエバーマン/クリス・ローシェ

男臭い!

なんと男臭いCMなのでしょうか!!

松田優作(工藤ちゃん)とフォーエバーマンの組み合わせのなんという濃さでしょう。

男っぽい曲であるということもさることながら、松田優作のことを「フォーエバーマン」つまりは「永遠に色褪せない存在」ということを示す暗喩として、この曲を採用したのかなと思います。

CMで歌っているクリス・ローシェさんは、NY出身の父と東京出身の母の元、京都で生まれ育った人で、洋楽と邦楽の架け橋になるべく活動されているそうです。

カバーされているのは、クラプトンが1985年にリリースした「ビハインド・ザ・サン」に収録されている曲です。

シンセサイザーとか使って、イントロのギターもエフェクトがかかっていて、80年代ならではの景気の良い仕上がりで大好きな曲です。


本日はここまで。

他にもソングリストいろいろあります。

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