誰そ彼は[第13回]「さとうひさゑ(NPO法人アート・プランまぜまぜ 天若湖アートプロジェクト副実行委員長)」

 

「NPO法人 アート・プランまぜまぜ」の理事長であり、「天若湖アートプロジェクト」の副実行委員長を務めるさとうひさゑさん。

え?

NPO法人アート・プランまぜまぜって何?

そんでもって理事長って偉い人なん?

天若湖アートプロジェクトって何?

そんでもって副実行委員長てやっぱり偉い人やん!

肩書きだけ読んでも、いまいち何をされているかピンとこないのではない上に、ものすごいカチっとした響きで、思わずここから先を読むことを敬遠してしまいそうになってしまった方もいるのではないかしら?

どうかまだブラウザを閉じないで〜〜。

この堅苦しい文字の羅列が、実はめっちゃ面白い試みを生み出しているっていうことを知ってくれたら嬉しいです。

 

天若湖アートプロジェクトの準備風景

 


もっと、いろいろなかたちでアートとまちをつなげられるのではないか

 

—「NPO法人 アート・プランまぜまぜ」や「天若湖アートプロジェクト」のことを聞く前に、まずはさとうさんのことを教えてください。

 

さとうひさゑ:短大で京都に来てもう20年近くになります。

短大のときは美学・芸術学を専攻していました。

高校生のとき、女子校にうまくなじめなくて、学校以外に何かしたいな・・・と、絵の教室に行ったのがアートとの出会いです。

その教室が高校生向けの美大受験コースも持っていたので、最初は特に美大受験する気はなかったけど、なりゆきで、美大受験用の油絵を習うことになりました。

 

—へえ〜

 

さとうひさゑ:地元は浜松だったのですが、夏休みになると、東京で美大受験予備校に通う浪人生が遊びに来るんです。

その先輩たちの話がむちゃ面白かった。ガロのバックナンバー読んだりとか、サブカル的なものにもここで触れました。

でも、周りの本気で美大に行きたい人は本当に絵の才能がある人たちだったので、わたしとの実力の差は大きくて、受験が迫れば迫るほどその差は広がる。

美大には行きたいけど、絵を極めたいわけではない。

他の人より画集や美術雑誌を読むのが好きだったので、これだな、ということで、芸術系大学にある「美学・芸術学」の学科を受験して、受かったのが京都の短大でした。

 

—なるほど。

 

さとうひさゑ:まあ、学生時代もいろいろあって、パブリックアート(野外彫刻)の調査研究をしていたのですが、まちのアートって、野外彫刻だけではないよなあ・・・。と感じることが多く、もっと、いろいろなかたちでアートとまちをつなげられるのではないかと、考えはじめました。

それで、まちづくりの団体と交流し始めたのがNPOをつくるきっかけになりました
。

 

—「NPO法人 アート・プランまぜまぜ」はいつから活動をしてるんですか?

 

さとうひさゑ:アート・プランまぜまぜをわたしが代表で立ち上げたのは2002年、26才のときです。

当時はまだアートのNPOってほとんどなくて、環境系のNPOの方から「そんなこと本当にできるのか」と言われたこともありました。

今は、アートNPOは全国にたくさんあります。そのなかでもかなり初期の立ち上げでしたね。

うちのNPOは公務員経験者などもいて、公共性を大事にしているのが特徴です。

芸術文化政策のシンポジウムをしたりとか、けっこう硬派です。

 

天若湖アートプロジェクトの当日本部風景

 

—どんな活動をされているんでしょうか?

 

さとうひさゑ:今は年4回の文化サロン「まぜまぜサロン」の開催と、共催している天若湖アートプロジェクトが活動の中心です。

ここ2年ほどは「アート婚活(恋活)」事業をしていて、これが、すごく人気があるので、今後はもっと力を入れていきたいと思っています。

 

—婚活をからめるの面白そうですね。

まぜまぜの立ち上げや運営で苦労されたことってありましたか?

 

さとうひさゑ:大変なことだらけですね。

まず、専従職員を雇うことが予算的にできないので、メンバーが事務局仕事を分担しています。

なんでも自分でしなければいけないので、企画から、行政の手続き、事務文書の作成まで何でもやります。

 

—一人で何役もこなさないとダメなんだ。

 

さとうひさゑ:もっと、稼げる部門もつくらなくては、とがんばった時期もあったのですが、NPOだとボランティアと見られるので、民間から依頼があった仕事でも委託費0円からの交渉になるのです。

それで最低限の費用だけでも説得して負担してもらう…というようなやりとりがあって、疲れてしまって…

結局マイナスなら、メンバーがやりたい本質的な仕事を中心でやろうというかたちで落ち着きました。

 

—良い意味でひらきなおったという感じでしょうか?

逆に、ここが楽しいという部分や、やりがいを教えてください。


 

さとうひさゑ:独特の切り口でやってることが多いので、小規模なサロンでもやってよかったと思うことが多いです。

ここでなければ、扱えなかったな…。と思う企画が実現できるとうれしいですね。

例えば、最近だと京都芸大で日本画の博士号をとった若手日本画家をゲストに迎えて、自分の研究を語っていただくサロンを開催しました。

実技で博士号取ってる人は少ないのです。

そのテーマに興味を持つ人が集めれたのはうちのNPOならではではないかなと思っています。

 

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まぜまぜサロン会場風景

 

「天若湖アートプロジェクト」とはどんなプロジェクトなのか教えてください。

 

さとうひさゑ:天若湖アートプロジェクトは2005年に開始した、日吉ダムで毎年行っているアートプロジェクトです。

当初は、アート・プランまぜまぜと桂川流域ネットワークという市民団体の共催企画ではじまりました。

日吉ダムは京都府のちょうど真ん中あたりになるのですが、20年前に建設されたダムで約120戸の家屋が沈んでいます。

かつてあった家々のあった場所にあかりを浮かべて昔の夜景を再現するのが、メインプログラムである「あかりがつなぐ記憶」です。

全長4kmになる大掛かりな作品です。

 

天若湖アートプロジェクト「あかりがつなぐ記憶」の光景

 

—湖面に4Km明かりが灯るということですよね。

 

さとうひさゑ:世界中にダムはありますが、こんなことをしてるダムは日吉ダムだけでしょうね。

そういう意味ではむちゃくちゃオリジナルで尖っています。

なんといっても「あかりがつなぐ記憶」は本当にきれいなんです!

 

—ダムが明かりで浮かび上がって幻想的な光景でしょうねえ。

 

さとうひさゑ:静かなあかりが湖面にふわーと広がって、見上げれば一面の星空…。

どんなに大変でも自分たちが観たいから、またやりたくなる。

それで、毎年続けています。

 

—イベント開催の目的は何なんでしょうか?

さとうひさゑ:あかりを見ながら桂川の上流の人と下流の人(京都、大阪など都市部の人)が語り合う場所をつくるのが目的です。

毎年1回開催しています。

 

—さとうさんが次にやりたいこと、続けていきたいことは何ですか?

 

さとうひさゑ:
うーん。

わたしの場合、高い目標を持って始めたことほどうまくいかないことが多いタイプなので悩みます。

なにかやっていると、課題が見えてきて、課題を解決しようとすると、他に事例がないので、結果的にオリジナル…みたいなかんじですね。

 

—なるほど。

 

さとうひさゑ: これからも自分の感覚に正直にやっていこうと思っています。

 

—ありがとうございました。

 


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