京都の⾄宝CHAINS。
⾼い演奏能⼒の猛者が揃ったアメリカンルーツロック⾊の強いオールドファッションで⾻太かつおおらかなサウンドのバンドです。
⾳楽好きは皆知っている、ていうか⾳楽好き以外にあんまり知られてないのがもったいないっていう。
めっちゃめっちゃのくっちゃくっちゃにかっこいいバンドです。
結成25年。
過去に4枚のCDをリリースしているものの、15年前の2003年にコロムビアのTRIADからフルアルバムとマキシシングルを出したのを最後に15年間いっさい⾳源を出してこなかった彼ら。
このまま⼀⽣出さんのかな〜と思っていたんです。
そしたらなんと!
ついに!!
⾳源が出ました!!!
2曲⼊りシングルだけど。笑
もともとおっさんっぽい70年代のアメリカンサウンドのバンドだったのですが、15年を経てさらにええ感じにいぶし銀⼊りまして、しびれる仕上がりになっております。
ということで、CHAINS啓蒙のお⼿伝いさせていただきたいなと思いまして、ボーカリストの新村敦史(しむらあつし)さんにインタビューをしてみました。
前半ヤバいですが、中盤からなかなかエエ話になってますので、最後まで読んでいただければ幸いです。
CHAINS15年ぶりの音源を記念して新村敦史にまずはメールでバンド紹介をお願いしてみた
―25年前CHAINS結成の経緯を教えてください。
1993年7⽉、⽴命館⼤学の⾳楽サークルのロックコミューンの部員同⼠で、ミーターズみたいなバンドを作ろう!ということで始まったバンドです。
―CHAINSをやっていて良かったと思える瞬間てどんな時ですか?
ライブの評判が良かった時。
―逆に25年やっていて「バンド最⼤の危機」はというのはいつでしたか?
コロムビアとの契約終了。
―猛者揃いのメンバーですが、各メンバー1⼈1⼈の演奏者としての魅⼒と、⼈間的に良いところを敢えて挙げて褒めてください。
ラリーさん(ベーシストラリー藤本)
ツボを押えた⾳選びとその置きどころで全体のコード感を決めているのは彼。
いとちゅう(ドラマー伊藤拓史)
定⽯にはないアイデアで変化を与えていくれているのは彼。
みっちー(ギター横⼭道明)
⾊んな意味で5⼈の⾳を締めているのは彼。
丸ちゃん(キーボード丸⼭桂)
バンドアレンジに花を添えているのは彼。
⼀旦ストーップ!
うぬぬ、新村おのれ…
新村敦史さんは⾒た感じシュッとした、けっこう⼩綺麗なおじさんなんですけど、昔からものすごく中⾝がポンコツなんですね。
このままではアカンということで、ここからは⽂章で投げた質問をベーシストのラリー藤本さんが⼝頭で聞き出すという斬新な⽅式に変更します。
演奏したものが形になるっていうのは、ワクワク感がある
—久しぶりのレコーディング。⾳源を出す作業で楽しかったこと苦労したことを教えてください。
ラリー藤本:ということで、今回15年ぶりのレコーディングやったわけやけど、メジャー在籍時は東京のスタジオで、それこそ⼿取り⾜取り⾄れり尽くせりの環境でレコーディングさせて貰ったやん?
うってかわって今回はマザーシップ(ラリー藤本の経営するスタジオ)で完全⾃主レコーディング。
今までとは全然違う環境だったわけだけど。
新村敦史:うん。
ラリー藤本:楽しかった?
新村敦史:楽しかったっていうか…
そやな。うん、楽しかった。
ラリー藤本:何が楽しかった?
新村敦史:楽しかったことは…
う〜ん…
やっぱワクワクするよね。
いろんな機材にマイクが⽴てられたん⾒て、今から演奏してそれを録るんやなって思ったら。
演奏したものが形になるっていうのは、ワクワク感がある。
ラリー藤本:レコーディングが嫌いとかではないんやんな?
新村敦史:やり甲斐ある。
ラリー藤本:じゃあRECは好きなんや。
新村敦史:好きやな。
ラリー藤本:逆にしんどかった事は何かある?
新村敦史:しんどかったのは、15年のブランクのせいか解らんけど、歌ってみて「え?おれこんな声出えへんかったっけ?」とかなった事かな。
ギターも⾃分ではキッチリ弾けてるつもりやったのに、後から聴いて「あれ?」みたいなんとか。
⾃分が思ってる実⼒と、客観的に聴いた時の実際の結果が違う。
ラリー藤本:それはなんで?
逆に若い頃は演奏した時の感触と実際の⾳にギャップが無かったってこと?
新村敦史:無かったと思うねんけどなぁ。
昔よりもそれだけ冷静に⾳を聴けるようになったっていう事なんかな。
ギャップを感じるというのは、ある意味成⻑したからかもしれん。
「メトロノーム」はある夏の日の情景をすぱっと抜き取って言葉にした、1枚の絵みたいな曲。
—収録された2曲のタイトル、歌詞の意味、聞きどころを教えてください。
ラリー藤本:1曲⽬の「メトロノーム」は飼い猫ちゃんの話よな。
新村敦史:話って⾔うほどのストーリー性はないけど…
「メトロノーム」はほんまに、ある夏の⽇の情景をすぱっと抜き取って、⾔葉にしてみた。
1枚の絵みたいな曲。
夏の昼下がりって、ちょっともの悲しい。
晴れてれば晴れてるほどもの悲しい。
猫がだらんとしてる時間帯で、退屈そうにぼーっとしてて、⾃分もねこみたいにぼーっとしてて。
さあ何しよっかな〜っていう、そんな瞬間を歌詞にしてる。
ラリー藤本:2曲⽬の「アスリート」は東京オリンピックを⽬指すランナーというか、アスリートのことを歌ってるようだけど。
新村敦史:「アスリート」は東京オリンピックが決まったときに、東京でやるんやったら俺も出てみよっかなと思って。笑
ラリー藤本:え、何?
⾃分の中でのオリンピックっていう意味じゃないの?
新村敦史:オリンピックに特別なこだわりがあるわけでもないから、フィクションといえばフィクションなんやけど。
オリンピックが東京であるなら、スポーツマンならみんな普通は出たいと思うやん?
スポーツやってたら誰だって純粋に出たいわけやん?
俺もそういう純粋に打ち込める何かがあるんかな?…っていう…
ラリー藤本:バンドマンで⾔うところの「東京進出」みたいな⼼情に「東京オリンピック」を重ね合わせた?
新村敦史:今はバンドで売れるイコール「東京」っていうような時代じゃないけど、昔っていうか、俺らがメジャーでやってた頃はまだ売れる為には東京⾏かな…っていう感覚も含んでる。
あとは、この歳になって、死期が近づいてきてて、もう⼀回頑張りたいなと。
それと東京オリンピックを⽬指すアスリートをかけてみましたって感じかな。
ラリー藤本:なるほどね。笑
曲のアレンジは基本バンドでみんなでやってるけど、作曲者およびギタリストとして曲中で意図したところって何かある?
新村敦史:「メトロノーム」はハモンドオルガンやな。
最初曲作ってるときは、もっとフォークロックな感じでやってたけど、バンドでやってるうちに、アル・クーパーみたいな雰囲気にしたらかっこいいんちゃうかな〜っていう気持ちになっていって。
最初はアコギとスライドギターで古臭かったんやけど。
オルガンが⼊ったちょっと⿊っぽいサウンドが気に⼊っています。
コードとか曲調は実はそんなに⿊くないけど。
「アスリート」はもう単純にリトル・フィートラブで。笑
曲を作ろうと思って作るんじゃなくて、家でポロポロ弾いてるうちになんかできてくる
ラリー藤本:曲書くときって、だいたいどうやって書くん?
新村敦史:昔からほぼほぼかわらず。
曲を作ろうと思って作るんじゃなくて、家でポロポロ弾いてるうちになんかできてくる。
ラリー藤本:コードから作るん?
新村敦史:なんかポロポロやってるうちに、コードなり、リフなり、サビの部分なりがなんかしら出てきて、そこをキュッとつかんで。
ラリー藤本:ギターから導かれるん?
歌詞先とかはないん?
新村敦史:ないね。25年間歌詞先に書いたこと⼀回もないね。
構成なりメロディーが先で、⼀番最後に詞をつけてる。
次レコーディングをするんだったら、アコースティックな側面を、押し出したような雰囲気にしたい
—次に作りたい曲や、作りかけの曲、ネクストアルバムへの野望はありますか?
新村敦史:やっぱりアコースティックギターやな。
ラリー藤本:段取り上の都合もあって、今回は2曲ともエレキの曲やったしね。
新村敦史:最近はライブでも半分近くアコギだったりとか。
作る曲も半分くらいはアコギで作るし。
次レコーディングをするなら、アコースティックな側⾯を押し出したような雰囲気にしたいなって思う。
今までの⾳源で⾔うと、アコギをレコーディングしてるのは「紅い花」だけか…
ラリー藤本:あれはバンドと爆⾳で「せーの!」で録ってるしなあ。
琵琶法師のように掻き鳴らしてて、アコギかなんかわからん位ガチャガチャした弾き⽅やったし。
新村敦史:アコギにハマってから「紅い花」聴いたら⾃分で下⼿やな〜って思って。
ラリー藤本:確かにシムラ的には近年はアコギブームやね。
⽇頃から何かしらジェイムズ・テイラーとジョニ・ミッチェルは会話に出てくるもんな。
新村敦史:昔からそういう⾳楽は好きやったんやけど、ホンマに⽬覚めたのはここ1、2年。
「エンガワ」(注:⼀時期、新村/ラリー/伊藤の3⼈でやってたCHAINSのセルフカバーユニット)の時もそんなにアコギに興味はなかった。
今が⼀番うまいと思うわ。
毎⽇2時間は練習してる。
もうええ歳になってきて、死期が近づいてるから、今頑張らないと、いつ頑張るのって思ってんねん。
ラリー藤本:死期めっちゃ感じてるやん。笑
まぁストイックで良いけども。
新村敦史:そやし次はアコースティックギターを押し出した⾳作りで作ってみたいな。
時間的な割合と気持ちの割合と経済的な割合は一致しないけど、やっぱり一番楽しいのは音楽やってる時。
—「仕事」と「家庭」と「⾳楽」、新村さんにとってベストバランスとは?
ラリー藤本:メジャーのときは、まぁ⼀時期やったけどプロとして⾳楽が仕事やったわけやん?
その後サラリーマンに戻って⾳楽活動を続けてるわけやけども。
新村敦史:時間的な割合と気持ちの割合と経済的な割合は⼀致せーへんけど。
やっぱり⼀番楽しいのは⾳楽やってる時。
ほんまは⾳楽と仕事が⼀緒になるのが理想だけど、それは今⾔ってもしゃあないし。
ラリー藤本:仕事や家庭から⾳楽の着想を得るとかはある?
新村敦史:そりゃあるよ。今回「メトロノーム」は家の中の歌やし。
ラリー藤本:そういやバンドマンとしてのキャリアは⻑いけど、最近になって弾き語りとかソロに熱⼼やん?
新村にとってバンドとソロの違いってどんな感じ?
新村敦史:なんやろな〜。
⼀⼈でやりはじめた動機は、もともと俺は弾き語りで歌うとテンポがバラバラになってしまうから、バンドじゃないと出来ひんかったねん。
せやからメトロノーム買ったし。
ラリー藤本:遅っ。笑
けどメトロノーム買ったおかげで曲もできた。笑
新村敦史:そや、曲も作ったし。
ソロで⼒付けたら、最終的にはバンドにフィードバックできるやん?
それが⼀番の⽬的。
今まではバッキングとかリズムはみっちー(横⼭)にまかせて、俺は粉ふりかけるくらいのギターやったし。笑
ラリー藤本:笑
新村敦史:あとソロでやる時は、頭でちゃんと考えながら歌う。
バンドやと、どうしても触発されちゃう。
メンバーの⾳に反応して何かやってしまうから。
良い悪いは別として。
なのでソロは訓練になるよね。
⼈前でソロでライブをやると、緊張感もあるし。
ラリー藤本:訓練…まじめやな。
新村敦史:バンドに還元したい。
死期が近づいてるから今やらんと。
今頑張らないといつやるねんて思ってる。
ラリー藤本:どんだけ死期感じてんねん。笑
まぁそらバンドだけでも25年。
そこそこ⻑いし無理もないが。
新村敦史:CHAINSを25年やってきたけど、今から25年後に同じように演奏出来るかっていうと、そうじゃないし。
最近はそういう気持ちが本当に強い。
病気になったわけでもないし、親族が死んだとかでもないけど。
また音楽で食えるようになりたいって青臭いこというつもりはないけど、それでもやっぱり、もっといろんな人に聴いてもらいたい
—これからのCHAINSとしての⽬標、新村敦史個⼈としての⽬標とは?
新村敦史:ずーっと1〜2週間に1回ペースでバンド練習してきて、ライブ⽉1〜2回かそれくらいでやってきて。
最近ようやく⾳源を⾃主制作して、久しぶり過ぎるけど出して。
最初に⾔ったけど、やっぱりワクワクしたし。
レコーディングしたものが形になるってことは嬉しい。
⾳源が出せたことで、死期が近づいてる以外のモチベーションも⽣まれた。笑
ラリー藤本:それは良かった。
⻑⽣きしてね。笑
新村敦史:今はもっとバンドのクオリティーを良くしたい。
そのためにソロ活動をしてるっていうのもあるし、レコーディングもして定期的に発表して。
また⾳楽で⾷えるようになりたいって⻘臭いこというつもりはないけど、それでもやっぱりもっといろんな⼈に聴いてもらいたいし。
今はバンドとしても成熟期で、魅⼒的な演奏ができてるし、評価を得たいっていう欲も出てきた。
どんなバンドだってそう思ってるんやろうけど。
ずっとバンドを継続して続けてきた50前の男たちの滲み出る色気を聴いて欲しい
—最後にメッセージをお願いします
ラリー藤本:メッセージ。
新村敦史:⼀番苦⼿や…
ラリー藤本:ほら、そんなんばっかり⾔う〜
新村敦史:難しいなあ〜
ラリー藤本:例えば…学⽣の頃から京都にいて、そこから四半世紀ずっとやってきて。
結成25年で15年ぶりの⾳源出したわけやん?
出してへんほうが⻑いわけやん?
その間⾃分たちなりの変化もあったやろし、変わらない部分もあるやろし。
さっきバンドも今が成熟期やて⾔ってたやん?
『新旧あいまった現在進行形のCHAINSを聴いてください!』…とかやな…
新村敦史:そうかなるほど。
『25年間紆余曲折ありましたが、ずっとバンドを継続して続けてきた50前の男達の滲み出る⾊気を聴いてみてください。』
ラリー藤本:苦笑
新村敦史:これでいいかな?
ラリー藤本:多分編集でエエとこ拾ってくれはるはずやわ。笑
LIVE インフォメーション
■2018/09/15 @ムジカジャポニカ(梅田)
■2018/10/20 @Music C1fe OOH-LA-LA(京都)
■2018/12/29 CHAINS主催『ONE STEP BEYOND 2018 Winter』@拾得(京都)
※チケットお申し込みはコチラまで→ch1ins.info@gm1il.com
CHAINS”が15年振りの新譜「メトロノーム」「アスリート」配信中
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